Soundiron「SHIMMER」/ドリーミー前編

 昨年末に無料配布BGMに追加された「ドリーミー」。

 今回はこの楽曲の制作過程とともに、メインとなった二つの音源を紹介します。一つ目はSoundironの「SHIMMER」について。

 可愛らしくユーモラスなGUIをしていますが、サウンドは本格的。英語で「光、熱などによる揺らめき、きらめき」という意味を持つSHIMMERの名の通り、魔法や夢をイメージしたキラキラサウンドが多数収録されています。

 構成はSE&エフェクト系のSHIMMER01、パッド&アンビエンス系のSHIMMER02、ドラム系のSHIMMER03、各エフェクトを個別に呼び出せるFXの4つ。まずはメインで鳴っているパッドから見ていきましょう。

 上の画像の右下部分に「Glambience」という部分がありますが、ここでパッドのプリセットを選ぶことができます。実に35種類のパッド・アトモスフィアが収録されています。今回選んだ音色が2番のパッド。

 C4→F3と演奏したものですが、これだけで世界観が出来てしまう音が出ます。後から追いかけるように鳴っている音も、全て含まれています。お手軽に世界観を作れる一方で、自由にコードを鳴らせないのはマイナス。SHIMMERに収録されている他のパッドもほとんどが最初から和音になっており、小回りが利かないのは少なからずこの音源の弱点と言えるでしょう。ちなみに曲の途中から入ってくるもう1つのパッドは8番のものです。

 続いてリズムパートです。リズム系もドラムとして使えるものからSE的な音まで多数収録されています。

 ALL Effectsでは先ほどのパッドと同様に右下のタブでCharms Long、Charms Short 、Risers、Cymbals、Snares、FX Hitsといったサウンドを切り替えて使用します。今回使用したCharms Short1はこのような感じ。

 楽曲をファンタジックな雰囲気にしてくれそうな音色が詰まっています。ただし、この音源の特徴なのかもしれませんが、中には音階が付いてしまっている(またはそう聴こえる)音色もあります。「この音の音階を変えたい」という場合はFXモードを使いましょう。例えばCharm Short1のC3の音色ですが、

このような音色になっています。ALL Effectsではこの前後の鍵盤には別の音色がアサインされているため、この音階でしか使えませんが…

 FXモードを呼び出します。FXモードはALL Effectsの全てのカテゴリーを個別に呼び出すもので、さらに鍵盤1つにアサインされていた音色が鍵盤全体にアサインされ、音階の演奏が可能になります。

 先ほどの音色も音階の演奏が出来るようになりました。単発のSEとして使うのであればピッチシフトでも大丈夫かもしれませんが、FXモードではメロディの演奏も出来るようになるのは大きいと思います。

 話をALL Effectsに戻します。今回はリズムパートとして使いたいので、以下のような音を入れてみました。

 上の方は普通に打ち込んだものですが、下の方はアルペジエーター(+ディレイ)を使ったものです。

 この部分でON/OFFの切り替えやパターンを自由に設定することが出来ます。これを使えば、お手軽に以下のようなグリッチサウンドを作ることも出来ます。

 ちなみに、このSHIMMERはSoundironからリリースされている「Glitch Hero」という音源にも収録されています。

 こちらはいくつかのグリッチ系の音源のバンドルと言うべき製品ですが、各音源がそのまま収録されているのではなく、Glitch Heroのシステムに各音源の音色を呼び出すといったイメージです。7つの音源のサウンドが収録されているので個別に買うよりお得ですが、操作感が全く違うのでそこだけ注意してください。

 最後にSHIMMERのドラムモードについて。今回は使っていませんが、このような音が収録されています。

 ドラムと言ってもSHIMMERらしい、キラキラ系の音色になっています。ALL Effectsの音に似ている(同じ?)音も多数含まれていますが、純粋にドラムパートとして使う場合はこちらの方が使いやすいと思います。

 と言うわけで、今回のコラム前編ではSoundironのSHIMMERを取り上げてみました。コンセプトの通り、ファンタジックでキラキラした雰囲気を作り出すのにうってつけの音色が多数収録されています。パッドが和音で収録されているなど意外と小回りが利かないのが少々残念ではありますが、1つ1つの音のクオリティは高いです。楽曲にSHIMMERの雰囲気を取り入れたい方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

 後半のコラムでは、「ドリーミー」のもう1つのメイン音源であるNative Instrumentsの「MALLET FLUX」を取り上げたいと思います。ぜひ、後半もお読みください。

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