「klang.cologne」、またはKLANGをご存知でしょうか?「klang.cologne」はドイツ・ケルンを拠点とするミュージシャン、作曲家、サウンドデザイナーのチームが運営するサイトです。
そしてKLANGとは彼らが生み出した一連の仮想楽器であり、フィールドレコーディングなどで収録した音を独創的なアイデアで加工したユニークな音源です。KLANGはDRUMBOX、FREEZE、SYMPHONICなどいくつかのジャンルにカテゴライズされており、各ジャンルごとに1つずつ音源が無料配布されています。なお、KLANGの音源は全てNative Instrument社のKontaktで動作します。
先日Sound Spreadの無料配布BGMに追加した「アンビエント〜不穏」という曲。
この曲はこのKLANGの無料配布音源だけを使って作られました。今回はこの「アンビエント〜不穏」の作り方とKLANGの音源を紹介したいと思います。
KLANGは上記の画像のように、カテゴリーごとに販売されています。これはSYMPHONICカテゴリーで、左上の「Bodega Strings」が無料配布されている音源です。このような感じで、他のカテゴリーにも無料の音源があります。
それでは、「アンビエント〜不穏」の制作に入っていきます。
今回使ったのは上記の6つの音源。全て無料配布されているものです。アンビエントということで、所々グリッドにピッタリ合わせていない部分もあります。
まず「Drown」を見てみましょう。
KLANGの無料音源のUIは基本的にこの感じで統一されています。中央の3つのパラメーターと左のリバーブ、左下の2つのチェックのON/OFFでサウンドを作っていきます。
今回使った6つの音源の音はこんな感じです。
1「Bodega Strings」
バイオリンの音を加工して作られた音源。今回は低音部で使い不気味な雰囲気を演出していますが、高音部では繊細なストリングスらしい音が出ます。テンポの遅い曲であればメロディも担当出来る、イメージよりも幅広く使える音源です。
2「Drown」
パッド系の音源。水中を思わせるような繊細な音からザラザラとした音まで、多彩な音作りが出来ます。今回は上の「Bodega Strings」と重ねて曲の土台を作っています。
3「Lost in Thoughts」
ベルリンの地下鉄やバスの音で作られた変わり種の音源。アンビエント系となっていますが、実際はパッド系、シンセストリングスという感じです。パラメータの設定によってはSE的な音が乗ります。
4「Stack of Wood」
その名の通り、木の音を加工して作られた音源。面白いのはマリンバの音を混ぜられるようになっている点で、これにより音階を感じないSE的に使うことも、マリンバのように使うこともできます。今回はマリンバの音を少し混ぜましたが、SE的な使い方をしています。
5「Plucked Overdrive」
ギターをPLUCKのように加工してある音源。アルペジエイターの速さをスライダーで自由に変更できます。この曲では少々分かりにくいかもしれませんが、後半にアクセントでSE的に入れてみました。
6「Spiel Uher」
サイトによれば「Spielを録音した」とあるのですが、グロッケンシュピールのことでしょうか。金属的な音色を出す音源ですが、短いクリックのような音からノイズをまとったシンセストリングスのような音まで、大胆に音色を変化させることが出来ます。
以上の6つの音源で作られたBGMが、「アンビエント〜不穏」です。どの音源も原型を崩すようなエフェクトはかけていません。無料で配られていると思えないほどユニークでクオリティの高い音源と言えるのではないでしょうか。KLANGは有料の音源も多数発売していますが、1つが600円しない程度なので気軽に買えるのも大きいかと思います。また、現在進行形で新しい無料の音源が追加されています。
Plugin Boutiqueでのみ配られている無料音源もいくつかあります。公式サイトと共に、ぜひチェックしてみて下さい。